前回、2020年から実施される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で、どのような問題が出題されるのかを記事にしました。→「リンク~2020年「大学入試改革」に向けて1まずは、どんな問題か見てみよう!~リンク」

こういった記事は、塾や出版社から良く出されているありふれた内容です。ここからは、私が「小学校の先生」をしていた頃の経験をもとにして記事を載せていきます。

3 「作文力の向上」と「公立学校の現状」

私は「記述式問題」の対策として、伸ばしていかなくてはいけない1番の能力として「子供の作文力」を挙げます。それでは、この作文力とは、どのようなものなのでしょうか?

「作文」とは文字通り「文を自分で作る」ことです。誰かの作った文を「書き写す」ことではありません。

大学院教授だった諸星裕さんは、著書「大学破綻合併、身売り、倒産の内幕」で入学してくる「大学生の作文力の現状」を、こう述べています。

‘‘とりあえず自分で書いてみよ、と「お題」を与えます。そうして提出されてきたものは、ほとんど「自動翻訳」の文章のような不思議な日本文か、「てにをは」が身についていない、意味を追うのに一苦労という文章になってしまいます。「これが日本人の書いた日本語の文章かと驚いてしまう」ということになるのです。‘‘

このような大学生に、レポートを書かせようとしても無理な話です。「引用文、コピペがほとんど」「事実の羅列で考えがない」「規定文字数を埋めただけで満足」といった現状が、偏差値55以下の大学ではあふれ返っていることでしょう。

20年近く小学校の教員を経験してきた私は、このような大学生の現状が手を取るように理解できます。なぜかというと公立小中学校教員は、十分な作文指導をしていないというより、できないからです。私は「文が書けない大学生」よりも「更に文が書けない小中学生」をいつも目の当たりにしていました。

「子供たちの現状とその理由」をまとめたのが下記の内容になります。「家では、ゲームとテレビ三昧」「学校では、自分で考えた文を書く機会が少ない」となると、子供たちの作文力が伸びるはずがありません。

「〇現状」と「・理由」

〇使える語彙が少ない。

〇誤字・脱字が多い。

〇きちんとした文が書けない。(意味不明な長文、ねじれ文等)

〇「意見→理由」「起承転結」等、段落をわかりやすく構成できない。

・会話が少ない。単語のみの会話が多い。

・読書量が少ない。→(家では、ゲーム・テレビ三昧)

・文章を書く機会が少ない。

・文章を推敲する機会が少ない。→(教員が多忙のため書かせたとしても、それをしっかりチェックができない)

〇自分の考えが持てない。

・学校では、教え込む授業が多い。

・学校では、グループ学習が多い。→(低位の子供は、集団に紛れてしまう。)

・考えさせる授業内容でも、優秀な子供が発表するだけ。→(ほとんどの子どもは、友達の意見に「賛成」「反対」と感じているだけ。自分の考えは生み出していない。)

・ノートに文は書くが、板書のまる写し。

・「スピーチ」「プレゼンテーション」の機会が少ない。

・「読書感想文を書く」「理科の自由研究をする」等の機会が少ない。

それでは、どうして公立小中学校では、しっかりした作文指導ができないのでしょうか。その理由は「先生1人対子供35人の授業形態」と「作文指導に伴う仕事量」にあります。

夏休みの宿題で、自分の子供に「読書感想文」を書かせるとします。親は、子供に「どんなお話だったの?」「ここに、自分の経験を入れてみれば?」「この文は変だから、どう直せばいいと思う?」等と働きかけます。書けなくて飽きてしまう子供をおだてたり、怒ったり、なだめすかしたりして、進める大変さは想像できると思います。

1対1でも大変なのに、35人全員の作文力を効果的に伸ばすことができるスーパー先生なんて、この世にいるのでしょうか。いたとしても「子供が書いためちゃくちゃな下書きを、何時間もかけてチェック」という仕事が生じます。

私は小学校教員のころ、残業時間が月平均120時間を超えていました。その激務をかかえて「何時間もかけて作文をチェックする」という気には、なりにくい。作文教材は、どのように教えようかと考えて準備するだけの他教科とは、違った大変さがあるのです。

※どのように教えようかを考えるだけでも「20分×6校時=2時間」・・・・掲示物などを作成すると1回の授業準備に1時間以上かかることもある。

「国語を研究している先生」「自分の生活を犠牲にして、仕事に打ち込んでいる先生」は例外として、一般の先生は、どのぐらい作文指導をしているのでしょうか。お子さんがいらっしゃる保護者の方は、まず学校で使っている教科書に、目を通してみてください。物語文や説明文の間にある作文教材を確認します。

「興味を持った部分を引用し、それについての自分の考えをまとめ、文章に書く」「意見文の組み立てを考えながら,自分の考えを伝える」といった様々な教材があることを確認できるでしょう。そして、お子さんの国語のノートを見てください。この2つを比較します。ノートには作文教材を実施した後が、どのぐらい残されているでしょうか。先生が赤ペンでチェックを入れて、お子さんは文章の推敲をしているでしょうか?原稿用紙に清書された作文や感想文を、どのぐらい目にすることができるでしょうか?

物語文や説明文の授業は、作文力を伸ばすことに直結しません。優秀な子供の発表内容を先生が板書して、それを全員が書き写しているからです。子供がノートを書いているからといって、作文力が身についているわけではないのです。

最後に、先生が多忙な中「絶対にしなくてはいけない作文指導」を紹介します。

それは・・・・小学校6年生の2学期後半に書く「卒業文集」です。これは「大変だから、やらなくていいや!」というわけにはいきません。「小学校での思い出」「将来の夢」等について「25文字×30文字=750文字」ぐらいで書く作文です。

35人のクラスで、だいたいの実態を載せます。

「平均的な能力を持つ児童」の指導の流れ

「①子供の下書き→②先生の赤ペン入れ→③新しい用紙に再度子供が書く→④更に、先生の赤ペン入れ→⑤子供の清書」
※「赤ペン入れ」の具体的な内容
・「誤字」「脱字」をチェックして、赤を入れる。
・「意味不明な長文」「ねじれ文」をチェックして、赤を入れる。
・「段落で、1マス開けて改行する」等、作文の決まりをチェックして、赤を入れる。
・ダラダラとしたことだけが書かれていて、自分の考えがない時には「自分の気持ちを書こう」等、アドバイスを入れる。
・文の順序を入れ替えたり、新しい文を考えるようにアドバイスを入れたりして、段落ごとのまとまりを持たせる。

〇良く書けていて、先生の「赤ペン入れ」の必要は無し。→3人ぐらい?

〇「赤ペン入れ」をするが、上記の「⑤つの過程」で完成できる。→17人ぐらい?

〇上記の「⑤つの過程」プラス個別指導が必要である。→13人ぐらい?

〇下書きを1人で書けない。先生が、様々な質問して一緒に書く。それをもとに先生が全部書いてあげて、子供は清書でそれを書き写す。→2人ぐらい?

何時間もかけて・・・・「赤ペン入れ」・・・・「個別指導」・・・・これだけ先生が努力しても、たいして「子供の作文力」がついているとはいえません。

どうしてかというと、子供は先生が赤ペンを入れた通りに、ただ直すだけだからです。

作文力は、指導者の「この文字は、間違っているから辞書を引く習慣を身に付けるといいよ!」「この文をどう直したら、読む人がわかりやすくなると思う?」「ここに、自分の気持ちや経験を入れると良くなるよ!」等のアドバイスを受けて「自分でより良くするために考える」「自分で推敲する」ことで身に付ける・・・・伸びるものなのです。

2020年から実施される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に対応できる「作文力を身に付けてあげられるか?」・・・・今現在の公立学校では、非常に厳しいということです。

特に「上位3人ぐらい?」の子供は残念です。教師の指導は、この子供達には向けられていません。「高い能力を、更に伸ばしてあげられる環境ではない」ということです。

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